本日、私が書類作成者として関与していた大手消費者金融T社に対する不当利得返還請求事件の判決の言い渡しが、名古屋地方裁判所でありました。
原告は、本当に長い間、まじめに返済をされ、現在に至っています。
判決は全面勝訴、T社に1000万円近い支払いを命じる判決になりました。
消費者金融に対する不当利得返還請求事件は、現在は元借主である原告の方が有利な実務上の流れがありますので、勝訴判決はある程度予想されたものではありましたが、今回書かせていただいたのは、判決理由に目新しい記述があったからです。
以下、いくつか列挙致します。
1.過払い金の実質について
「単にたまたま債務者が債権者に対して実際の債務額を超えて弁済してしまったという問題ではなく、また、単に超過利息のうちの制限超過部分を上記判例法理に従って充当することのみに起因する問題でもなく、貸金業者が顧客に対して期限利益喪失特約という事実上の強制を背景にして弁済させた超過利息をあたかも弁済規定が適用される有効な弁済であると取り扱うことによって生じる法律問題なのである」
「過払金債権は、不法行為に基づく損害賠償請求権と極めて近似した特長を有している」
→形式上は不当利得返還請求権ではあるが、スタンダードな不当利得と発生の仕方が異なり、同一に論じることはできないとしています。
2.貸金業者の行為について
「悪意の受益者である貸金業者において、顧客がみなし弁済規定の適用を争って訴訟案件となったとしても、資料保存などの点で同規定の要件充足を的確に立証し得べき体制を取っていないにもかかわらず、そのような実態を秘し、顧客に対してあたかも同規定が適用されるかのように装い、何食わぬ顔で超過利息を長期間にわたって徴収し続け・・・」
「悪意の受益者である貸金業者の顧客は、みなし弁済規定の適用を受けないことを知りながらあたかも有効な弁済となるかのように装って超過利息を請求する貸金業者に欺罔されて弁済をなすのであり・・・」
→かなり踏み込んで貸金業者の批判をしています。私としては「よくぞ言ってくれた」という感じです。
今回の判決で、一番のポイントは、不当利得返還請求権の消滅時効の時効期間を、不法行為による損害賠償請求事件に関する時効期間を準用して、顧客がみなし弁済規定が適用されないことを知ってから3年、または、取引終了時から20年としたことです。
実務上は、民法167条の10年の時効期間が一般的ですが、これを20年に伸長したことになり、このような判決が一般化すれば、さらに元借主の救済に資することになるでしょう。
司法書士 馬ちゃん
2008-07-09
消費者金融の利息の取り過ぎは犯罪?