7月30日に「債権差押及び転付命令」の「送達証明書」が送達されてきました。
債務者である消費者金融には7月24日に、第三債務者(債務者である消費者金融の債務者という立場)の方には7月22日に送達済みであると記載されていました。
民事執行法第155条(金銭債権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、その債権を取り立てることができる。)及び転付命令の効果が発生することにより、私の依頼者の方は、8月1日から第三債務者の方に債権者として返済を請求することができます。
昨日、第三債務者の代理人司法書士に、債権額45万円を2万円ずつ20回遅れることなく返済していただくことを条件に、残額の5万円の請求権を放棄する旨の和解案を提示しました。
これからは一般人同士の法律関係になりますので、第三債務者の方に返済することに対するモチベーションを維持できるようにするためです。
今後は第三債務者の方の代理人司法書士と交渉をして返済条件を確定することになります。
司法書士 馬島 洋介
2008-07-31
過払い金回収のひとつの方法3
2008-07-29
過払い金回収のひとつの方法2
7月17日付けで書かせていただいた強制執行手続きの件で、「債権差押及び転付命令」正本が東京地方裁判所民事第21部から送達されてきました。
同時に債務者(今回は消費者金融)にも正本が送達されていますので、債務者に送達さされてから1週間が経過すれば、債権者が、債務者である消費者金融から私の依頼人に変更されます。
今後は、債権者としての立場を有する依頼人の代理人である私と、第三債務者(消費者金融からお金を借りていた人)の代理人の司法書士と返済計画を協議して、契約書を取り交わし、その契約書のスケジュールに沿って分割で支払っていただくことになると思います。
今回のように、相手の消費者金融に資力がなく、勝訴判決を得て、差押え(例えば消費者金融名義の預金口座への差押え)をしたとしても空振りに終わる可能性が高い場合には、有効な過払い金の回収方法になるのではないかと思います。
司法書士 馬ちゃん
2008-07-23
生活保護の申請率は45%
朝日新聞によると、生活保護の申請率(相談窓口に相談に行った人のうち、実際に生活保護の申請を行った人の割合)が45%にとどまることがわかりました。
以前にも書かせていただいたとおり、生活保護の申請に何回か立ち会ったことがあり、その現状を目の当たりにしたことがありますが、本人だけで相談・申請に行くということは、かなりハードルが高いようです。
そもそも、生活保護法で本人の意思に反して申請を受理しないことは禁じられていますが、実務上、この原則が例外になってしまっているところが少なからずあります。
政令指定都市で申請率が最悪だったのは、悪名高い北九州市、最高だったのは千葉市でした。
適正な手続きは、受理後に受給資格があるかを調査するという流れですから、申請したい人は、全員が申請を受理されていなければなりません。
今回は割合の分母が「相談窓口に行った人」ですから、全員が申請意思があったかどうかわからないので、100%にはなり得ないかと思いますが、45%というのは少な過ぎますので、申請に対する有形・無形の妨害があったということでしょう。
生活保護費の受給ができずに自殺した事件が平成17年、18年と北九州市で発生していることもあり、厚労省は今年4月に、本人の申請意思を確認し、意思が確認できれば速やかに申請書を交付し、申請を受理するように自治体に通知しました。
この申請しづらい状況も影響してか、複数の研究者によると、生活保護基準以下の低所得者層のうち、生活保護を受給しているのは15~20%だそうです。
まずは、申請拒否の態度を改めてもらい、申請率がUPするように具体的な対策を講じて欲しいものです。
司法書士 馬ちゃん
2008-07-22
高山市の相談会に出席して
20日の日曜日に、私が所属しているNPO法人の主催で、岐阜県高山市で「多重債務無料相談会」を行ってきました。
高山市に市役所のホールを貸していただき、13時から17時まで行いました。
市の広報誌や新聞にも掲載されたこともあり、10数組の相談者に、暑い中、足を運んでいただきました。
去年も「高山相談会」に参加させていただいたのですが、高山に特有の事情なのか、山間部だからなのかわかりませんが、多重債務であることを他人に知られるのを嫌がられる傾向が強いように思いました。
多重債務者本人が相談に来ずに、親族が相談に来られるケースが半分ほどあったように思います。
高山市の弁護士、司法書士には相談しにくいので、相談に来たという方もいたようで、開催した意義は充分あったように思います。
案件も多くて、地元の弁護士さん、司法書士さんも奮闘なさっているようですが、手が回らない状況にあるようです。
相談会終了後に、NPO法人のボランティアの方々と共に、「飛騨牛」を食べに行きました。
今、何かと話題の「飛騨牛」ですが、肉が甘くて、とてもおいしかったです。
司法書士 馬ちゃん
2008-07-18
クレディアの民事再生手続きに進展
先日、民事再生手続き中の消費者金融クレディアについての書類が東京地方裁判所民事第21部から大量に届きました。
私が代理人として手続きをさせていただいている方々についての書類で、クレディアが裁判所に対して提出した再生計画案に対する議決票が入っていました。
民事再生における平均的な弁済率は10%前後ですが、今回、クレディアは以下のような再生計画案を提出しています。
①再生債権の弁済率を40%にし、一括弁済する。
②30万円までの少額な再生債権については、全額を一括弁済する。
上記の条件は、再生債権額が少ない方に有利なものになっています。
再生計画案の認可の条件は、1.債権者の頭数の過半数、及び2.債権額の過半数、の賛成が必要となります。
都市銀行など、大口の債権者が反対にまわると、債権額の過半数の賛成の条件を満たさず、認可されなくなってしまいます。
もし、再生計画案が認可されないと、おそらく破産手続きによることになると思います。そうなると、配当率が40%を下回るのは確実で、20%に満たない可能性が非常に高いと思います。
再生債権者の方が「議決票」に意思を表して郵送しないと、自動的に再生計画案に反対したことになってしまいますので、賛成するか反対するかは別にして、提出期限の平成20年8月12日までに、少なくとも意思表示はしていただければと思います。
司法書士 馬ちゃん
2008-07-17
過払い金回収のひとつの方法
利息の過払い金について、相手が大手であれば、こちらが訴訟提起すると、遅くとも第二回口頭弁論までに被告の方からアプローチがあり、金額や返還時期の交渉を経て、被告の任意で返還されることが大半です。
しかし、小規模な業者はもとより、中堅の業者の中のなかにも、多数の過払い金返還請求により資金繰りが悪化し、こちらの希望にほど遠い金額(請求金額の10%など)しか払えなくなってしまっている業者もあります。
このような業者が請求相手の場合は苦労します。
裁判所で勝訴判決を得て、それが確定したとしても、強制執行の段階で、差し押さえるべき資産がないからです。
そこで私は、同僚の司法書士と協力し、請求相手の会社に返済をしている方に対して請求相手の会社が有する「貸金返還請求権」に対して差押えをして、お金を返してもらう代わりに請求権をいただくことにしました(転付命令)。
こうすれば、例えば業者に50万円を返してもらいたい時に、業者に50万円借金をしている人を探してその方の了解を得て差押え+転付命令を得れば、業者は法律関係から離れ、50万円を返してもらいたい人が新たな貸主になります。
借主の方が、しっかりと返済をしてくれるかどうかという問題がありますが、例えば、40万円を分割で払い終えることを条件に残りの10万円を免除するという契約にすれば、借主の方の返済に対するモチベーションが高まり、スムーズに行く可能性が高くなるのではないかと思います。
現在、東京地方裁判所に「差押え及び転付命令の申立」を行っていますが、あまりこのような事案がないようで、請求債権特定のための記載の仕方などについて担当裁判官と書記官が協議していて、進行が止まっています。
進展があれば、またご報告致します。
司法書士 馬ちゃん
2008-07-11
レイクは新生銀行に売却~業界再編ニュース~
11日判明したところによると、GEコンシューマー・ファイナンス株式会社は「レイク」の名称で運営している消費者金融事業を新生銀行に4000億円で売却する方針を固めた模様です。
アコムやプロミスが売却先になるのではないかと噂されていましたが、消費者金融のシンキ株式会社、信販会社の株式会社アプラスを傘下に収める新生銀行が争奪戦に競り勝ったようです。
ただ、新生銀行とGEコンシューマー・ファイナンスからのプレスリリースがありませんので、果たして事実なのかどうかは、判然としません。
事実であれば、シティーグループ(ディック CFJ株式会社)の消費者金融事業からの撤退と合わせて、業界再編の勢いはさらに加速しそうです。
司法書士 馬ちゃん
2008-07-09
消費者金融の利息の取り過ぎは犯罪?
本日、私が書類作成者として関与していた大手消費者金融T社に対する不当利得返還請求事件の判決の言い渡しが、名古屋地方裁判所でありました。
原告は、本当に長い間、まじめに返済をされ、現在に至っています。
判決は全面勝訴、T社に1000万円近い支払いを命じる判決になりました。
消費者金融に対する不当利得返還請求事件は、現在は元借主である原告の方が有利な実務上の流れがありますので、勝訴判決はある程度予想されたものではありましたが、今回書かせていただいたのは、判決理由に目新しい記述があったからです。
以下、いくつか列挙致します。
1.過払い金の実質について
「単にたまたま債務者が債権者に対して実際の債務額を超えて弁済してしまったという問題ではなく、また、単に超過利息のうちの制限超過部分を上記判例法理に従って充当することのみに起因する問題でもなく、貸金業者が顧客に対して期限利益喪失特約という事実上の強制を背景にして弁済させた超過利息をあたかも弁済規定が適用される有効な弁済であると取り扱うことによって生じる法律問題なのである」
「過払金債権は、不法行為に基づく損害賠償請求権と極めて近似した特長を有している」
→形式上は不当利得返還請求権ではあるが、スタンダードな不当利得と発生の仕方が異なり、同一に論じることはできないとしています。
2.貸金業者の行為について
「悪意の受益者である貸金業者において、顧客がみなし弁済規定の適用を争って訴訟案件となったとしても、資料保存などの点で同規定の要件充足を的確に立証し得べき体制を取っていないにもかかわらず、そのような実態を秘し、顧客に対してあたかも同規定が適用されるかのように装い、何食わぬ顔で超過利息を長期間にわたって徴収し続け・・・」
「悪意の受益者である貸金業者の顧客は、みなし弁済規定の適用を受けないことを知りながらあたかも有効な弁済となるかのように装って超過利息を請求する貸金業者に欺罔されて弁済をなすのであり・・・」
→かなり踏み込んで貸金業者の批判をしています。私としては「よくぞ言ってくれた」という感じです。
今回の判決で、一番のポイントは、不当利得返還請求権の消滅時効の時効期間を、不法行為による損害賠償請求事件に関する時効期間を準用して、顧客がみなし弁済規定が適用されないことを知ってから3年、または、取引終了時から20年としたことです。
実務上は、民法167条の10年の時効期間が一般的ですが、これを20年に伸長したことになり、このような判決が一般化すれば、さらに元借主の救済に資することになるでしょう。
司法書士 馬ちゃん
2008-07-03
過払い金返還請求訴訟の現状
こんにちは。
本日、一宮簡易裁判所に行って来ました。
私が代理人をしている事件の開始を傍聴席で待っている間、貸金返還請求事件とともに、3件ほどの過払金返還請求事件の口頭弁論が行われていました。
3件に共通して感じられたことは、裁判官が書証のみで判断するのではなく、契約時の具体的状況も重要な判断材料にして判決を出そうとしているのではないかということです。
「原告は完済時に契約書の返還を受けましたか?カードは被告(業者)に返還しましたか?完済後から再度の借り入れまでに被告から何らかの接触はありましたか?」等々、細かい事実経過の上申を裁判官が原告代理人に要求していました。
このことから私は、平成20年1月18日の最高裁判決に沿って判決を出すという明確な裁判官の意思を感じました。
訴訟提起時には、原告代理人による原告に対する過去の事実経過の事情聴取がさらに重要になりそうです。
司法書士 馬ちゃん
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