2009-11-17

武富士が減額求める

asahi.com
消費者金融の武富士は16日、転換社債の発行で昨年調達した資金の一部について、事実上、返済の減額や猶予につながる条件変更を投資家に求めることを決めた。過払い利息返還や金融危機で悪化した資金繰りを改善する狙いだ。同業のアイフルは私的整理入りしており、生き残りを懸けた動きが加速している。

 対象は、昨年6月に発行した転換社債(株式に交換できる社債)700億円のうち最大400億円分。償還(返済)の期限は18年6月だが、来年6月に繰り上げ償還を求めることのできる権利が投資家側に与えられている。

 武富士の株価は、昨年6月上旬までの2000円台から直近は400円台に低迷している。回復も見込みづらく、武富士は、投資家が転換社債を株式に交換せず、全額の繰り上げ償還を求める可能性が高いと判断。放置すれば資金繰りが一段と厳しくなるため、債務の組み替えに向け、投資家側と交渉していた。

 具体的には、(1)転換社債を額面の半額以上の現金に交換(2)額面の4分の1以上の現金と残額相当分の普通社債に交換――という二つの選択肢を投資家に示した。武富士が(1)(2)の双方で用意する現金の上限は180億円。うまくいけば、繰り上げ償還のかなりの部分を免れることになる。

 転換社債はスイスのUBSグループを割当先に発行されたが、UBSはこの転換社債から別の債券を組み立て、内外の投資家に売った模様だ。投資家らは武富士の経営悪化に伴う損失を最小限に抑えるため、今回の提案に応じると武富士では見ている。

 武富士の9月末の連結有利子負債残高は2983億円だが、問題の転換社債も含めると、1年以内に約1890億円の返済期限が来ることになっていた。今回の債務の組み替えに加え、保有不動産を担保にした資金調達にも動いており、資金繰り改善にある程度メドがついたと見られる。しかし、独立系の消費者金融の経営環境は厳しく、貸し付けをさらに絞るといった対応を迫られる可能性もある。