2008-06-10

ヤミ金の不法行為による損害は、返済した金額の全額と認定~最高裁判所~

 10日、最高裁判所第3小法廷にて、暴力団による組織的なヤミ金に対する被害者が、不法行為に基づく損害賠償請求を求めた上告審の判決がありました。

 年率で1000%を超えることも多いヤミ金の貸付行為は、不法行為を構成し、契約自体が無効なため、ヤミ金から借入をした人は、利息はもちろん元本についても返済をする必要はありません。

 また、ヤミ金の側も、元本についても返還を求めることはできません。

 本日の判決は、そこからさらに一歩踏み込んだもので、お金を既に払ってしまった人が、その金額について損害が発生しているから損害賠償しろと訴えた場合に、ヤミ金が「いや、最初に貸した金額はあなたは受け取っていますから、その金額分は請求を減額してください。」といえるかどうかと言う点について、最高裁判所は「自分が悪いことをしてこんな問題を起こした人が、減額を主張することはできません。」と判断しました。

 要するに、ヤミ金側からの損益相殺を否定したということです。

 確かに、すばらしい判決ではありますが、実務上この判決がプラスに働くかというと、残念ながら?です。

                                  司法書士 馬ちゃん