今日は、昨日の名古屋地方裁判所での不当利得返還請求事件の勝訴判決を受けて、被告の控訴の可能性を検討する過程で、最高裁平成20年1月18日判決の判決文を再度読み返していました。
簡単に言えば、貸金業者側に有利で、消費者側に不利な判決です。
争点は、今一番ホットな論点である取引中断の場合の取引の一連性についてです。
本判決は、以下の事実を認定して、中断の前と後の取引を別取引と認定しました。
1.中断期間が約3年間あること
2.中断の前と後の基本契約の内容である利息・損害金の利率が異なること
3.その他の事情に、中断期間の前後の取引を1つの取引であると認定するに値する事情が存在しないこと
です。
これを、昨日の勝訴判決の認定事実に当てはめると、
1.中断期間は約8ヶ月である
2.再度の借り入れ時に新しい基本契約が成立していたとする前提に立っても、中断の前と後の基本契約の内容である利息・損害金の利率は同じである
3.再度の借り入れは被告の側からの誘引にてなされたこと、及び、再度の借り入れの際に与信審査をしっかりと行った事実が確認できないこと、さらに中断期間の前の完済時に、被告が解約手続きを取っていないこと
などなど、もし、仮に基本契約が2つ存在した場合でも、「中断期間の前後の取引を1つの取引であると認定するに値する事情」が存在するという主張も可能かと思います。まあ、控訴審で被告が新たな証拠書類を提出してくることも可能性としてはありますが。
とりあえず、遅くとも明日には被告代理人に判決正本が送達されるでしょうから、しばし被告側の対応を見守ろうと思います。
司法書士 馬ちゃん
2008-02-19
今さらながら、最高裁平成20年1月18日判決について